「ヨコトリ2014」やなぎみわアーティストトーク@新港ピア

スタートから2か月が経過した「ヨコハマトリエンナーレ2014」。メイン会場のひとつ新港ピアにて9日(金)の17時より、出展作家であるやなぎみわ氏のアーティストトーク:都築響一×森村泰昌「世界の中心には忘却の海がある/路地と秘宝館はどこにでもある」が開催され、それに先立ち、出展作品「移動舞台車」の展開パフォーマンスが行なわれた。
動画でお見せできないのがもどかしい。この後のトークで都築氏が「ショボいディスコミュージック」とあくまで好意的に評したBGMが流れるなか、前述発言を受けた作家自身が言うところの「アート台無し感」が渾然一体となって、「表と裏/外と内とがひっくり返る」=「世界をひっくり返す」やなぎ作品が、その全貌をあらわす。
展開完了に続いて、ステージに登場したやなぎ氏が「ポールダンスを期待してた方、ごめんなさい。私がやろうにも未だ修得できていないものですから」と詰めかけた来場者に挨拶。それから『TOKYO STYLE』(京都書院、1992)の刊行準備期に「ひとつ屋根の下で暮らした(:京都のやなぎ邸に二度ほど宿に借りた)」ことのある都築氏と、14時から行なわれたサイン会に続く出番で「少々お疲れ気味」の森村氏をそれぞれ紹介し、2時間におよぶトークの開始。
"お題"にあった「秘宝館」とは、 2000年に閉館した鳥羽の「元祖国際秘宝館」の展示物を買い取った都築氏が、翌年に開催された第1回「横浜トリエンナーレ」で披露したアート作品を指す。13年を経た今なお売れずに残っている作品を、やなぎ氏に「購入して、この舞台車に収めませんか」などと打診する都築氏、念願の作品である「移動舞台車に暮らしている悪夢を最近やたら見てしまう」というやなぎ氏、ヨコトリ出展作品の選定基準を「ダメなアート(=アートとは基本的にダメなものである)」と明かした森村氏。三氏のやりとりは息もピッタリで、会場は何度も爆笑に包まれた。
ブログ「やなぎみわ Stage Trailer Project」にも出ているが、法律、規制、日程、予算など、「移動舞台車」の前には幾重にも壁が立ち塞がった。来春開催予定の「パラソフィア :京都国際現代芸術祭2015」への出展とイベント開催、やなぎ氏が「このために移動舞台車を作った」という、中上健次原作『日論の翼』を舞台化した旅公演の実現へ向けて、支援を募る「クラウドファンディング」も立ち上げている。
支援金額にもよるが、出資特典のひとつである「名入れ」が、トレーラーの外装に追加されていた(追記:正面からの画像は、作家の公式facebookに掲載されている)。第1号は「ヨコトリ」のロゴと文字。
今回の作品に多大な影響を与えた、写真家の沈昭良(Shen Chao-Liang)氏の撮りおろしによるポスター(隣接する新港ピアオフィシャルショップで100円で販売している「移動舞台車雙六」の裏面)前回のトークを聴きにきた時には気付かなかったが、会場の壁に貼られたポスターには何人ものサインが書かれていた。判読できず。

ヨコハマトリエンナーレ2014」は残すところ約3週間、11月3日(月・祝)まで。会期中の休場日は10月16日のみ。会場は10-18時(11月1日 土曜日は20時まで)、入場は閉場30分前まで。
行って気付いたのだが、やなぎみわ作品「移動舞台車」が置かれているのは場所は、入店フリーの新港ピアオフィシャルショップと同じエリアにあるので、やなぎ作品を見るだけなら入場料はかからない! とはいえ、ここまで来たら、日埜直彦氏が手掛けた「Cafe Oblivion」で一息入れつつ、その側に設置された大竹伸朗氏の作品を鑑賞したり、シャトルバスを有効に使って《横浜美術館》会場ほかの作品群も見たいもの。

ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」
http://www.yokohamatriennale.jp/2014/

やなぎみわ Facebook
https://www.facebook.com/yanagimiwa.theater





+飲食のメモ。
閉場時間まで居ると、場内のカフェもあわせて閉店するので飲食がままならぬ。

徒歩圏内の《横浜赤レンガ倉庫》では、ビール祭「横浜オクトーバーフェスト2014」を絶賛開催中。だが人気店「bills」も含めて休日の館内は大盛況だったので、ライトアップされた"クイーンの塔"《横浜税関》を右手に、左手に「象の鼻パーク」を眺めながら、和食ダイニング「Charan Paulin」に辿り着く
見るからに年代もののビル。店の公式サイトの説明によると、昭和6年竣工の「海岸通壱番館」という。はす向かいは、それより4年ほど先輩の"キングの塔"こと《神奈川県本庁舎》。2階にある店内では、壁のスペースを利用して「安川千秋 写真展」も行なわれていた。
アラカルトでオーダー。「クレソンと鮮魚のサラダ」、4種きのこのドレッシング(右上)も濃厚でおいしかった。
おろしポン酢に好みの薬味(きざみミョウガ、山葵、柚こしょう)でいただく「和牛もも肉のたたき」。
揚げチーズと半熟卵がのっかった「チャラン・ポラン風リゾットごはん」は、決して"ちゃらんぽらん"な味などではなく。皿の縁に黄色いオリーブオイルを散らして、見た目にも綺麗。
ドリンクの「生姜炭酸」も、どれも美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

Charan Paulin
http://arahabaki.jp/charanpaulin/