プレイ・ジュエリー ウェア・アーキテクチャー「建築を通してジュエリーを考える」@ (PLACE) by method

10月10日から12月27日まで東京都庭園美術館で開催中の、コンテンポラリー・ジュエリー界の巨匠の大回顧展「オットー・クンツリ展」関連イベントが、新宿、渋谷、青山、恵比寿など都内13箇所で展開中。

プログラムディレクター:スーザン・ピーチ(アーティスト、SCHMUCK2 代表)
企画制作:SCHMUCK2(schmuck2.de)、秋山真樹子
協力:method inc.

同展サテライト・プログラム「プレイ・ジュエリー」のテーマや会期はそれぞれNIESSING×名和晃平「COMULUS」など終了したものもあり)。そのひとつ、此処 (PLACE) by method で12日から始まった展示は、永山祐子建築設計中村竜治建築設計事務所、それぞれの代表を務める2氏によるコラボレーション。永山、中村の両氏ら関係者が来場した11日夜のオープニング時に会場を見学。

プレイ・ジュエリー ウェア・アーキテクチャー「建築を通してジュエリーを考える」は、SCHMUCK2 PROGRAM として、11月に座談会(敬称略 : 中村竜治/司会、長坂常、中山英之、永山祐子)と対話(アンネ・シューレン×中村竜二)が終了、最後を飾る本展は1月30日まで開催される。
会場では、永山祐子氏は光による現象的な作品を、中村竜治氏は物理的な作品を発表(分担は自然に決まったとのこと)
3つの白い楕円形の立体が中村氏の作品。長さ10mのカーボンパイプの直棒を丸めてつくった直径3.2mの円形リングを、会場内に人力で楕円形にしならせ、床と天井に挟まるように設置した。
入口側にある楕円は、梁下と床の2面(2点)に接しているのみ。固定金具などは一切なく、しなる棒がもとに戻ろうとする反発力を利用して自立させている。
会場中央の楕円の接点は天井と床。
フレームの太さは6mm。 大勢のゲストが来場したオープニング時は、フレームを踏まないように注意との表示(ヒビが入るとリング全体が壊れて崩れてしまう)。かなりの反発力があるため、人力でグググとしならせながらの設営の際は、力加減に気をつけながら慎重に作業した。緊張感がそのまま作品の魅力のひとつに。
展示では、建築のための装飾と人のための装飾の中間的な存在を考えてみた。(略) ネックレスが人の形に合わせて変形し優雅な曲線を即興で生み出すように、3つあるリングはそれぞれ、このギャラリーの凹凸した天井高をこの場で読み取り、それに応じた楕円を空中に描き出し空間をつくる。(中村竜治氏が用意した会場配布物のテキストより一部を抜粋して転載)

この楕円は、"円をモチーフにした空間を測る物差しのようなもの"であり、"空間の天井高さを訪れた人に意識させる"ものとしても機能する。
対する永山祐子氏は、《LUIS VUITTON京都大丸》のファサードや《豊島横尾館》のエントランスと内部にみられるような、"たとえそれがなくとも建築は機能として成立している。でも、それがあることで建築も新しい見え方、意味、コミュニケーションが生まれる"ような装飾を、中村氏とのコラボ会場に施した。
丸、三角、四角にマスキングされた光は黄色と赤の2種類。舞台用の照明による投射。
光はほんのりと壁を染めてから、徐々に濃くなり、再び消えてゆく。
「光というよりは、塗ったようにみえる現象を目指した装飾」とのこと。作品に近付いて、上下左右に角度を変えて目を凝らすと、光があたる壁面に、万華鏡のような紋様が描かれているのがわかる。
描いたのは、アーティストの松下 徹氏。場内掲示によれば、"ステンシル(切り型)をつかったスプレー転写の新作 "とのこと。
下の画、松下氏が手にしているのがステンシル。いわば作品の元となる型紙。白いケント紙に鉛筆で大まかな下絵を描いてから、残す面と取る部分をフリーハンドのカッターで切り分けたもの。ひじょうに細かく、まるでレース編みのよう。作業は即興に近いという。
"切り絵"の制作が完了したら、型紙を壁に付着、今回はその上からグロスのスプレーを吹き付けている。シンメトリーを意識しながら、1つのピースでひとつの世界をつくり上げていく。

3つのうちひとつの作品はビスマス結晶をモチーフに制作。植物の葉脈など、自然界のフラクタル、自己相似的なかたちに惹かれるという松下氏。永山祐子建築設計の事務所の柱も同じ手法で装飾したほか、福島県で昨年開催された「アラフドアートアニュアル2014」では雪の結晶のようなグラフィティー作品を発表している(そのほかの作品は松下徹公式サイト参照)
(PLACE) by method を会場とした「オットー・クンツリ展」サテライト・プログラム展、プレイ・ジュエリー ウェア・アーキテクチャー「建築を通してジュエリーを考える」の会期は12月12日から2016年1月30日まで。日曜公休、12月26日〜1月3日も年末年始休。開廊は12-19時。入場無料。




+飲食のメモ。
渋谷駅から渋谷2丁目交差点を目指して坂を上がっていく途中、Bosch(ボッシュ)社の1階にカフェ[café 1886 at Bosch]ができていた 〈前回、(PLACE) by method に「CRAZY KIOSK」を観に行った時はなかった〉
聞けば、厨房機器類は扱っていない同社だが、新たな試みとして今年9月10日にオープンしたとのこと(今年8月26日発表同社プレスリリース。席数85、床面積167.53平米とかなりゆったりめ。内装デザインは窪田建築都市研究所
平日と土曜は22時まで、日曜祝日は20時までの営業(金曜夜の上記オープニングレセプション帰りは食事のラストオーダー:21時に間に合う)。こだわりサンドイッチや、ハワイのTORIBA COFFEEのメニューも気になったが、胃袋疲労気味でカモミールをオーダー。ガラスの蓋付きでサーブされる。
あったまりました。ごちそうさまでした。
店名はBosch社創業年に由来。上の画に写っているのは、創業者であるロバート・ボッシュ氏の生涯と同社の歴史を描いた漫画の店内閲覧用。総ページ342Pと読み応えあり(同社サイト内に用意された電子ブックでも読める)

café 1886 at Bosch(カフェ 1886 アット ボッシュ)
www.bosch-cafe.jp/