「富山もよう展 in Tokyo」 – 富山を誰かに贈るとしたら、こんなもようで包んでみたい –

同展は、テキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏がデザインを手掛けた富山もようプロジェクトを紹介するもので、富山市のD&DEPARTMENT TOYAMAで今夏に開催された「富山もよう展 ー富山を誰かに贈るとしたら、こんなもようで包んでみたい。ー」の巡回展であり、最新版。

富山もようプロジェクトのスタートは2014年の8月。富山県民の殆どが購読しているという北日本新聞の130周年を記念し、8月2日から4日連続で、鈴木氏がデザインした"富山もよう"でラッピングされた朝刊が発行された。会場に置かれた閲覧用の現物で、併載された鈴木氏のインタビュー記事も確認できる。
立山連峰、白エビ、ガラス、水をモチーフにした4種で朝刊での展開は終了。県民の好評と、その後の自然な盛り上がりを受けて、五箇山の合掌造り集落、ライチョウ(雷鳥)、カイセン(海鮮)富山もようが追加された。昨年3月には北陸新幹線開業記念としてshinkansen柄が登場。今では倍の8種類に。
会場では、ファブリックのパネル(下の画・壁の展示)のほか、富山県下の企業やものづくりの担い手たちとのコラボレーションで誕生した各種プロダクト(参考商品を含む)も展示されている。
上の画・左:「shiroebi(白エビ)」の帯(×牛島屋

30日の夜、代々木上原のhako galleryで開催されたトークショーで鈴木氏が語るには、富山もようをデザインするにあたって富山を何度か訪れたが、天候などに恵まれず、立山連峰も雷鳥も実際に目にすることができなかったという(鈴木氏のブログ「テキスタイル獣道」にもその際のエピソードが出ている:2015年11月14日更新「ライチョウに会いに」など)。それを申し訳なく感じたらしい現地の関係者がその都度、補うに余りある言葉を尽くしてイメージを伝えてくれたのだという。「見られなかったことが却って良かったのではないか」と鈴木氏。
例えばこの「shiroebi」の場合、ザルにあげられた茹でた白エビをイメージしたビジュアルなのだが、元となったのは、子供の頃から茹で白エビの皮むきを手伝わされて半ばウンザリしているとは言いながらも、白エビ愛・郷土愛に満ち満ちた地元民の言葉から生み出された。
トークショーには、富山もようプロジェクトのプロデューサーである小柴尊昭氏も登壇。小柴氏がプロジェクトを立ち上げた想いの背景には、絵柄の布1枚を生活の中に取り入れることで、日々の暮らしを彩り、気持ちを豊かにしてくれるフィンランドでの生活体験があるという。
プロジェクトが世に出て約2年。富山もようは、フロアマット(×北陸バロン美装、把手がダイカストで台座を兼ねるうちわ(×ナガエ、富山の薬売りの流れをくむ紙ふうせん(×富山スガキ、風鈴(×能作などに商品化されている。ガラス飛散防止フィルム三協アルミ、型染め和紙の名刺入れ(×桂樹舎なども検討中(アートディレクター:高橋理氏)
テキスタイルではなく、ガラスや樹脂など透明な地で展開される"鈴木マサルワールド"が新鮮。トークショーの席上、鈴木氏は「なんでもかんでも柄にすればいいとは思っていない。適材適所というものがある」と最初と最後に語っていた。 「新聞もそうだが、何気ないもの、なんでもないもの、例えば消えて無くなってちゃうようなものでやれたら面白いのではないか」とも。
トークショーに招かれたデザインジャーナリストの川上典李子氏が話の中で引用した「デザインとは、愛する人に花を贈るようなもの」というエットーレ・ソットサスの言葉が、富山もようにはふさわしい。サラの状態で2014年8月1日の富山県下にタイムスリップし、富山もように包まれた新聞を受け取りたかったと悔しそうだった川上氏の吐露に点頭。

「富山もよう in Tokyo」- 富山を誰かに贈るとしたら、こんなもようで包んでみたい -の会期は10月2日(日)まで。開廊は11:00〜18:00、月曜定休(祝日の場合は翌日)

CASE GALLERY(ケースギャラリー)
www.casedepon.com/

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+飲食のメモ。
トークショーが始まるまで、井の頭通り沿いのパティスリー[BIEN-ETRE(ビヤンネートル)]にて休憩。目当てはパフェだったが、かき氷をまだ提供していたので「檸檬カードとバナナヨーグルトソースのかき氷」をオーダー。バナナと檸檬のとりあわせは初、アリですわこれ。

ドリンク付きで¥1,400ナリ(巨大になった分、2年前より上がったか)
とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

BIEN-ETRE(ビヤンネートル)
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