片山正通「EXHIBITION OF WONDERWALL ARCHIVES 02」@ 銀座 POLA MUSEUM ANNEX


銀座1丁目のポーラ ミュージアム アネックス(POLA MUSEUM ANNEX)にて、4月18日より始まった「EXHIBITION OF WONDERWALL ARCHIVES 02 10 PROJECT MODELS」を見に行く。

同社を率いる片山正通氏の講演会(主催は別、第47回AXISフォーラム)も聴講したので、見聞したことをあわせて記す。



銀座での展覧会会場には、インテリアデザイナーの片山正通氏が率いるWONDERWALLが手掛けた近作の模型10点、パネルなどが並ぶ。
入口2カ所には、片山氏の人形が(詳細は不明)
前回の01展とほぼ変わらぬ会場構成。 黒い壁で囲われたエリア(画面右側)が模型が並ぶいわば本会場。 EV前から配された通路をぐるりとまわる。今年6月にPARCO出版から発売予定の『WONDERWALL ARCHIVES 02』が会場で先行発売されるのだが、掲載予定ページが通路の片側にパネル化されている。模型を見て、パネルのテキストや写真を読むと、さらに理解が深まる。4年前と異なる点は、会場ではスマートフォンを使って、片山氏本人による音声ガイドが聴けること(ガラケーユーザーは涙をのむ)
会場の突き当たりの映像も01展と同様。
模型は1点を除き、『 WONDERWALL ARCHIVES 02』に収録されている。
以下、テキストは展示パネルと、別途AXISフォーラムでの片山氏の発言からとった。

「A-FACTORY」青森 2010年 S=1:50
http://www.jre-abc.com/a-factory/index.html
青森駅のウォーターフロントに建つ複合施設。地元名産が味わえるマルシェやマーケットなどを内包する。ビジュアルの目玉でもあるリンゴのシードル工場が模型でもよくわかる。

「Drawer 青山」2003年 S=1:20
http://www.united-arrows.jp/drawer/store/day.html
アパレルのユナイテッドアローズ傘下のブランドショップとして、2003年に骨董通にオープンした。ストア公式サイトに拠れば、「ドゥロワー」とは”引き出しの上段に上質な物を入れた”という英国の古き良き慣習に由来する。

「INTERSECT BY LEXUS」青山 2013年 S=1:18
http://www.lexus-int.com/jp/intersect/
レクサスをとりまく現象や人にスポットをあて、「都市とつながり、人と人、人とクルマが交わる」をテーマに2013年にオープンしたブティック・ギャラリー。カフェ、ビストロを内包し、トークイベント等も行なっている。
レクサスがターゲットとして想定する架空の人物「Mr.Lexus」がオーナーのクラブハウスやサロンをイメージして、空間をデザインしたという。

「MACKINTOSH AOYAMA STORE」青山 2012年 S=1:20
http://mackintoshjapan.tumblr.com/tagged/mackintosh-aoyama-store
英国を代表するアウターウェアブランド。 MACKINTOSH(マッキントッシュ)としてはロンドンに継ぐ2店舗めの旗艦店で、日本では初のフラッグシップストア。2店とも片山氏がインテリアデザインを担当した。
上の画像では判りにくいが、通りに面したファサードは、左1/3が MACKINTOSHのストア、右2/3がTraditional Weatherwear のショップに分かれており、それぞれの看板が茶色と濃紺で色分けされている。

Youtube動画(約2分)
「片山正通氏の案内するMACKINTOSH LONDON STORE」
http://www.youtube.com/watch?v=S5DptX_vIqA


「ユニクロ ニューヨーク 5番街店」アメリカ 2013年 S=1:30
ユニクロニュースリリース(2011.8.31)
http://www.uniqlo.com/jp/corp/pressrelease/2011/08/083109_ny.html
展示模型は実際の店舗のほんの一部。1Fは建物の一角を占めるのみで、 パネルのフロア平面図を見ると判るが、 2Fは奥に長く、3Fはその3倍くらいの広さ(フロアを専有している)。故に、最大の売り場面積であるメインの3Fまで来店者を一気に到達させる必要があった。2006年にオープンし、NYらしさを留めたビルの元の壁を隠さずに「デザイナーにつくれない痕跡をそのまま残した」という「ユニクロ ニューヨーク ソーホー店」とは見せ方も空間も異にする。 AXISフォーラムでの説明では、監修者の佐藤可士和氏からの打診から秋のオープンまで時間がなく、到底間に合わないと覚悟したという。ユニクロ最大のウリである圧倒的な商品(パーツ)の物量を押し出した最初のプレゼンを、片山氏の迅速な仕事を含めて柳井氏が気に入り、デザインがほぼブレずに秋のオープンにこぎつけた。その後、パリ・オペラ店や今春オープンしたばかりのベルリン店など、旗艦の8店を片山氏は佐藤氏らとタッグを組んで手掛けることになる。この五番街店はハブ空港のようなイメージ。
2014年3月発表のユニクロのリリースに拠ると、2Fにスターバックスを複合させた「SPRZ NY」を新たにオープンしたとのこと。
ユニクロニュースリリース(2014.3.28)
http://www.uniqlo.com/jp/corp/pressrelease/2014/03/032810_sprz_ny.html


「OZONE at Rits-Carton,Hong Kong」香港 2011年 S=1:30
http://www.ritzcarlton.com/en/Properties/HongKong/Dining/ozone/Default.htm
九龍島に建つ「ザ・リッツカールトン香港」の最上階(118F)にあるメインバーで、クライアントからのプレッシャーが強かった物件。L字空間の中にテーブル、カウンター席、個室をさまざまなエリアを有し、それぞれ異なった空間になっている。「人工で自然をつくる」ことを目指した。

「THE BANK」鎌倉 2000年 S=1:18
http://www.ritzcarlton.com/en/Properties/HongKong/Dining/ozone/Default.htm
1927年(昭和2年)に建てられ、翌年に旧鎌倉銀行由比ケ浜出張所として開店した小さなビルをバーに改装したもの。アートディレクターの渡辺かをる氏からの依頼で「アイリッシュ・バーと日本のあの頃の感じを足したような店」とイメージを最初に提示されて困ったとか。架空の時代を想定してデザインしたが、オープン後に「まるで元から此処にあったみたいだね」という客の声を聞いて、片山氏は「何も新しいものをつくらなくてもいいんだ」と思ったという。
横浜銀行店舗写真館
http://www.boy.co.jp/boy/company/history/photo.html


「Hyundai Card TRAVEL LIBRARY」ソウル 2014年 S=1:20
竣工したばかりで開店を待つ、カード会社の会員の為の、「旅」をテーマにしたトラベルライブラリー。片山氏いわく「難解な空間」。壁を埋め尽くした本棚が、天井まで覆っている。1F奥に併設したカフェの椅子の形状に至るまで再現されている。

「THOM BROWNE」ニューヨーク 2013年 S=1:20
http://www.thombrowne.com
前回の01展もそうだったが、模型には照明も仕込んであって、内部の奥までよく見える。今回もまた驚嘆するばかりの模型の精度。

「代々木VILLAGE」 2011年 S=1:50
http://www.yoyogi-village.jp/top/
代ゼミの本部校舎が移転して、650坪ものいびつな空地が生まれてしまうところを、小林武史氏を中心とした(株)クルックのプロデュースにより飲食店やアパレルショップなどが入った複合施設として生まれ変わった。
片山氏が声をかけた花宇5代目の西畠清順氏が世界中から集めた植物まで再現されている。
会期は5月25日まで、会期中無休。オープンは11~20時、入場無料。
ポーラ ミュージアム アネックス
http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/

WONDERWALL
http://wonder-wall.com

片山正通FB(音声ガイド)
https://www.facebook.com/wonderwall.katayama




さて、4月23日の夜にアクシスギャラリーを会場に開催された、第47回AXISフォーラムでの片山氏の講演は、オフレコの話やスライドも交え、とても濃密な内容であった。
月に発売された最新168号の表紙を片山氏が飾っているが、意外にも本号が初めて。憧れの雑誌の表紙になって、若い頃の夢がまたひとつ実現できた、とは冒頭のコメント。予定時間を超過して終わった講演の後、会場からは質問の手が途絶えずに挙がる。

AXIS Magazine 公式サイト
http://www.axisjiku.com/jp/axismag/




下の画像は模型ではなく、実物の《代々木VILLAGE》。
西側のメインエントランスから敷地内に入ってすぐ、左の角にあるパン屋「pour-kur」。本店は湘南にある自家製酵母と石釜ピザのベーカリー「POURQOUI?」で、「石釜ホットドッグ」、数種類あるベーグルとチャパタサンド、砂糖びっしりの「フルートレザン」等々、 今のところどれを買っても全部おいしかった。独特のむっちり生地を堪能できる。
店頭でパンを買って、斜め向かいのカフェに持ち込むのも可。一部のドリンクが割引になるのもうれしい。

「代々木VILLAGE」~「pour-kur」のページ
http://www.yoyogi-village.jp/food/food_pour.php