ギャラ間「TYIN」展

乃木坂のTOTOギャラリー・間で開催中の「TYIN tegnestue Architects 展」を見る。
TYIN(ティーン:テーネステュエ・アーキテクツの略)は、ノルウェーのトロンハイムを拠点に活動する、アンドレア・G・ゲールセン、ヤシャー・ハンスタッドの二人による建築家ユニット。

二人が出会ったノルウェー科学技術大学(NTNU)での学内コンペに勝利して手掛けた「トロンハイム学生協会会館( ルントホール)」の入口ホールの改修が、最初の仕事で、2007年当時、二人は25-26才の頃。
1929年の建造当時の姿に戻すことに力点を置いたこのプロジェクトの後、「潤沢な予算を費やしたデザイン重視の建築に対して疑問を感じ、自分たちの可能性を求めて」タイをはじめとする東南アジアの国々で、これとは180度異なる実践的設計活動を展開する。


ミャンマーとの国境近くのヌボ村に建てた孤児院(カレン族難民)のための宿舎(2009、タイ)の1/20模型。
特徴的なY字屋根の形状から《バタフライ・ハウス》と名付けられた。外壁は周辺地域で伐採した竹製。基礎部分にはタイヤを敷き詰め、地面から浮かせて、建物を湿気から守っている。現地の技術とTYINの建築知識が融合した作品。

「クローントゥーイ・コミュニティ・ランタン」(2011、タイ)の1/10模型。
バンコク最大・最古の非合法地区に、公園とサッカーコートをつくる計画。 地域および内外のコミュニティを結ぶ施設となることを狙い、 準備に1年をかけ、わずか3週間で施工した。

奥行き1.2×幅12メートルの建物は、単純かつ頑丈につくり、後日に増築が行なわれることも想定している。

既存の《セイフ・ヘイヴン孤児院》に浴場と図書室を増設したプロジェクト(2009、タイ)。
縮尺1/10模型。

《カッシア・コープ・トレーニングセンター》(2011、インドネシア)の写真パネル。
シナモン生産の職業訓練所。世界消費量の85%を占めながら、劣悪だという就業環境の改善を目指すPJ。
多発する地震対策として、コンクリートと煉瓦で基礎を固め、木構造をのせている。
模型は縮尺1/10模型。


中庭の展示:TYINが手掛けた、あるいは進行中のプロジェクトとワークショップの数とひろがりを示す世界地図。

外階段を上がり、会場は4階に続く。


4階では母国ノルウェーをはじめ欧州での仕事を紹介。

徒歩で通学する児童のための、小さな待ち合せ場所を想定した《バーネトロック》(2013、ノルウェー、トロンハイム)。



徒歩または自転車で登校する児童のために、魅力的な通学路をつくる計画。オスロ建築デザイン大学の学生も参加している。

ノルウェー最南端の景勝地砂丘に建つ展望台と遊歩道。当地のまばゆい陽光から名付けられた《リスタの光》(2013、ノルウェー)。
キャビンの先には全長60メートルのデッキが繋がっている。現状復帰できる建材を使うことが条件だった為、コンクリで基礎はうたず、木材で作られている。

《アウレ郊外のボートハウス》(2011、ノルウェー)縮尺1/10模型。
築150年の「ボートハウス」を解体して出た廃材などを再利用して建て直したもの。地域沿岸で18世紀以来続く歴史と文化を継承した。

ヴァーネルス空港の面材店「TRD ハイネマン」における特産品コーナーの什器(2014、ノルウェー、トロンハイム)。
ノルウェーの伝統工法である丸太組と、地元で盛んな造船・海運関連の鉄鋼技術を融合させた。解体した古民家の木材を再利用。什器の脚のスチールは、トロンハイムでみられる杭上家屋群を模している。

会場には、TYINを支える溶接工や大工といった職人、クライアント、学生達もあわせて紹介。
展示台に載っているのは、彼等からの”贈り物”。

会場内の解説パネル、チラシなどで使われている手描きのような文字は、二人が書いた訳ではなく、ギャラ間運営委員のひとり、原研哉事務所がデザインした特別フォントと思われる。
日本人建築家と海外の建築家と交互に取り上げているギャラ間だが、北欧圏の建築家をとりあげるのは初めて。
TYIN tegnestue Architects 展」会期は9月20日まで、入場無料。

TOTOギャラリー・間
http://www.toto.co.jp/gallerma/


追記:TYINテーネステュエ・アーキテクツ講演会「People Projects Processes」
(2014.7.31公開YouTube動画、再生時間:1時間06分)





+飲食の話。
前回の乾研展の際は、近くのペルー料理専門店で「とうもろこしドーナッツ」をいただいたが、本日は《六本木ヒルズ》まで足をのばす。味良し×CP良しでよく利用するのが、ヒルズB1Fにある「モロコバー」。
こちらの「リコッタチーズのパンケーキ」はとても好みの味。消費税アップ後もランチ価格据え置きなのも素晴らしい。
たいへん美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

ランチ(11-15時)はドリンクバーが付くセットメニューあり。アパレルとカフェが一緒になった形態で、その所為か男性客の姿を殆ど見たことがない。

「モロコバー」
http://www.morokobar.com/index.html