番組視聴:タモリ倶楽部「新幹線E7系」、そしてニッポンの匠

流浪の番組「タモリ倶楽部」は時々、地図とかマニアックな特集がツボにはまる回がある。
8月29日と9月5日の深夜に前後編でオンエアされた「北陸新幹線E7系を作ろう」では、来春開業予定の北陸新幹線に導入される最新車両E7系の、1脚で自動車1台分の値段というシートが並ぶグランスタの内部や、中央線ほかを走行するメジャーなE233系の台車入れ作業の様子などが公開に。ロケ地は横浜市金沢区の(株)総合車両製作所


上記取材先ではなく他社の例ではあるが、 折しも発行されたばかりの雑誌『AXIS No.171』(発行:アクシス、2014年9月1日発売10月号)に、新幹線の車両製造の一端を通じて、日本の驚くべき工業技術の高さを知らしめる記事が掲載されている(同誌P.046-052「匠のかたち」)。

記事によれば、JR各社では不測の事態に備えて、新幹線の製造を1社単独ではなく、数社に振り分けて発注しているそうで、日立製作所もそのひとつ。同社の車両製作拠点である山口県下松市の協力工場のうち、打ち出し板金を専門とする(株)山下工業所では、新幹線の顔ともいえる流線型の先端部分を担当している。その技術たるや、凄い。

先端部分はいわば「家」と同じ構造で、6つの面状構造物(構体)から成り、前後を「妻」、左右を「側(がわ)」、屋根、台枠と称するとのこと。0系の頃から比べて年々長細くなる三次元曲面部分の素材は、昔は鉄板、今は軽量化したアルミ合金。製造過程にはCADやレーザー加工機など最新技術が一部導入されているが、最終的な仕上げ作業は、今も昔も職人の経験と勘が頼り。目と耳(表面をハンマーで叩いた時の音)、そしてハンマーを握った手でもって、あの滑らかな流線型がつくられているという。いや、凄い。

実に良いタイミングで、番組と雑誌の特集を目にすることが出来た。