「VITRA & ARTEK United by Design」@南青山

南青山5丁目のライトボックススタジオ青山で始まった「VITRA & ARTEK United by Design」を見学。
会場は、昭和中期に建てられた屋上テラス付きの2階建ての建物で、現在はセンプレSEMPREのハウススタジオである(昨年も同スタジオの1Fにて、Artek(アルテック)は誕生から80年を迎えたアアルトの「スツール60」のスペシャルバージョンほかを展示した)

北欧を代表するインテリアブランド「アルテック」は昨年、スイスの家具メーカー「ヴィトラ」の傘下になった。そのことを象徴するハートマークが会場の壁に描かれている。
アルテックは今年4月に日本法人が発足。千駄ヶ谷3丁目にオープンしているという2社合同ショールーム(ヴィトラ&アルテック オフィス・ショールーム)は完全予約制だが、11月3日まで開催される本展はフリーで入場できる。
増上寺の「Any Tokyo 2014」での合同展示はインスタレーションだが、青山の会場は、生まれと育ちが異なる両社の創業からの流れをわかりやすくまとめている。
アルテック(Artek)の沿革。
パイミオのサナトリウム(1933年)に端を発し、1935年に会社設立。その後も"名作"といわれるチェアや照明などのプロダクツを数多く世に送り出した。

ヴィトラ(Vitra)は1957年創業。ヴィリー・フェールバウムがアメリカのプロダクトーイームズ夫妻やジョージ・ネルソンらの家具を欧州で展開したことに始まる。初めての自社開発製品は1967年の「パントンチェア」。後にザハ・ハディド、安藤忠雄らが各施設設計者として参加する「ヴィトラキャンパス」の建設も1981年に始まり、1989年にはフランク・ゲーリー設計による《ヴィトラ・デザイン・ミュージアム》がオープンする。2000年代にはジャスパー・モリソンた新生代のデザイナーと組んだプロダクトも発表。
ヘルツォーク&ド・ムーロンが設計、ホームファニチャー部門のショールーム《ヴィトラハウス》がオープンしたのは2010年。今年4月には、元英国版『エル・デコ』編集長によるヴィトラとアルテックの初の合同展を開催。9月27日からは、大規模な回顧展「アルヴァ・アアルト -セカンドネイチャー展」を来年3月1日まで開催する。
この日の17時から始まったプレス向けイベントには、今年7月にアルテックの社長に就任したマリアンネ・ゴーブル氏が出席。 新社長はオーストリア出身で、2001年から11年にかけてヴィトラに在籍。バーゼルでのデザインフェア「Design Miami(デザインマイアミ)」のディレクションを2011年から14年まで手掛けたほか、ロナン&エルワン・ブルレック、ザハ・ハディド、ジャスパー・モリソンといった建築家やデザイナーとの恊働も多数。ヴィトラホームコレクション、ヴィトラエディション、そして《ヴィトラハウス》のオープンにも関与している。
「元々アルテックはアルヴァ・アアルトら創立者4人のアイデアのプラットフォームとして誕生した。ヴィトラとアルテックが一緒になっても、単なるモノではなく、アイデアを提供する会社であり続けることに変わりはない。互いを独立したブランドとして尊重し、確率することが大切であり、極めて"現代的な結婚"であると捉えている」とゴーブル社長は述べ、両ブランドに共通するサステナブルなデザイン理念に基づいて、今年から来年にかけて展開される3つのプランについても説明した。
計画の基本となる1つめが、高品質でシンプルな北欧マテリアルによるナチュラル・サーフェイスの継続。2つめはアーティスト・建築家との新たなコラボレーション(ミルック・クルベリ[現アルテック代表取締役、ヴィトラ ホーム部門の責任者]が推進したブランド戦略ー坂茂氏による2007年ミラノサローネにおける《Artek パビリオン》、トビアス・レーベルガーと2010年につくりあげたカフェ「Nothing happens for a reason」、田村奈緒が2013年に手掛けた「スツール60」のスペシャルエディションなどーが過去の好例として挙げられた)。そして3つめは、1935年創業のArtekの80周年を祝福するイベントである。また現時点ではマーケットから外れているアーカイブ作品の復刻も予定。詳細は来春のミラノ・サローネで披露されるが、今後の展開から目が離せない。

Artek Japan Facebook
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「VITRA & ARTEK United by Design」は11月3日まで。オープンは11-20時(最終日のみ18時閉場)
会場:東京都港区南青山5-16-7 ライトボックススタジオ青山 1,2,3F
www.lightboxstudio.net/aoyama-top.html


+飲食のメモ。
19時から開催されたオープニングパーティでは、ローズベーカリーのデリやスイーツが提供された。
イワシやサーモン、ミートボールなど、北欧を意識したメニューと思われる。
ノンアルコールのドリンクも美味しゅうございました。ごちそうさまでした。