「CITIZEN "LIGHT is TIME"」凱旋展@スパイラル

南青山の《スパイラル》1F/スパイラルガーデンで「CITIZEN "LIGHT is TIME" ーミラノサローネ2014凱旋展ー」が今日から始まった。

今春のミラノサローネ(Mirano Design Week 2014)に初出展したシチズン時計株式会社(以下、シチズンが、彼の地で発表したインスタレーションを再現したもの(参考:シチズン トピックスニュース 2014.1.27発表)。
会場構成を田根剛氏D.G.T.LUFTZUGの遠藤豊氏が手掛けて話題となった。ミラノでの来場者数は5万人を越え、 最終日に行なわれる「ミラノデザインアワードコンペティション」では、「ベストエンターテイニング賞」と「ベストサウンド賞」を2部門で受賞。文字通りの"凱旋"である。

本展クレジット
クリエィティブディレクション:シチズン シチズンブランド事業部
会場構成・インスタレーションデザイン:D.G.T.(DORELL.GHOTMEH.TANE
照明・音響演出:LUFTZUG
音響設計・制作:WHITELIGHT led.

「光は時」、そして「時は光」である、が展示テーマ。腕時計の内臓部品である「地板(じいた)」を使ったインスタレーション。その数、なんと6万5,000個。
会場 地板のアップ画像提供:Sさん(アリガトウゴザイマス)

「地板」とは、時計の一番底に位置する基盤部分で、この上に歯車やらネジやら細かい部品が組み込まれ、ムーブメントとなる。職人でもない限り、人の目に触れることはまずない。

直径3cmほどの地板には金メッキが施され、単体では穴の空いた金貨か何かに見える。この金色の小さな円盤の中心部の小さな孔に、丈6.6メートルの細いワイヤーを貫通させて下側から留め、適当な間隔をあけて、会場の上から下に真っすぐ吊るされてている。
床レベルを上げ、黒くしたアトリウムのフロアに、小さな固定金具が打ち込まれ、ワイヤーの下端が留められている。ワイヤー総数は4,400本。 1本あたりの地板の数は、12、18、24個の3種類、取り付け間隔はそれぞれ12パターンある。どのパターンのワイヤーをどこに配するかは、予め入念に検討され、工場でワイヤーに地板を取り付けてから、破損しないようにロールに巻かれて搬入、会場で吊るされた。カフェと隣接するアトリウムでは、日中は設営作業が出来ないので、4夜を徹して行なわれた。
ミラノでの展示空間は四角いハコで、通り抜けは直線の動線となっていた(シチズン トピックスニュース 2014.4.18)。本展では、槇文彦氏設計による円形の吹き抜け大空間にあわせたスパイラル形状に。内側からも鑑賞できるインスタレーションは、2Fへと続く螺旋状のスロープを進めば、外側、そして上からも眺められる。アトリウムのガラス天井は今回特別に遮光されている(消防法の範囲内)
遠藤氏による照明計画は、斜め横から光が差し込んだり、真上からあてられたり、かつ緩やかな明滅を繰り返す。照射角度によって、ワイヤーの存在感がなくなり、金色の円盤が宙に浮いたように見える。
8万個を使ったミラノと同じ地板だが、会場の規模が異なるので、使用個数を減らしながらもワイヤー同士の間隔を狭めて、ギュッと凝縮させた構成に。
緩やかなスロープを昇りながら、立ち止まったその場その場で、それぞれ違った光景に巡りあえる。同じシーンは二度とない。下の画はスロープ途上からの見下ろし。
アトリウム会場中心部の床には、円形のオブジェが据え置かれている。 精巧・複雑なムーブメントを模したもの。
オブジェの真上には、1924年創業のシチズンと年を同じくする、同社製造による時計第一号となった懐中時計がひとつだけ、シンボリックに吊るされていた。
本展は、そもそもはスイスで毎年開催される、世界最大の宝飾および時計の国際見本市「バーゼルワールド」において、シチズンが2013年に会場で発表したインスタレーション「Frozen Time」が出発点。バーゼル、ミラノ、東京へと会場が移るにつれ、展示も進化し、反響も大きくなっている。同展はJ-waveの番組内で紹介されたらしい。
サウンドと光の明滅は一本調子ではなく、微妙にアレンジを変えている。1曲1種類をループさせると、人間の感覚の自然な反応として、不調をうったえてしまうのを避けるためでもある。

アトリウム以外の会場では、創業90周年となるシチズンのものづくりの現場についても紹介。
「飯田工場の改善五箇条」は、我が身への訓戒として思わずメモってしまった。
小さな円形の展示台では、腕時計のコントロールパーツや秒針などの細かな部品をルーペを使ってみることができる。なかなか無い機会。
大階段(エスプラナード)では、この世に時を刻み始めた瞬間を宇宙のビッグバンとし、人類の進化と共にあった時計の歴史、そして前述の「懐中時計」を生み出し、以降さまざまな時計/ウォッチを派生、作りつづけてきたシチズンの「あくなき挑戦」を、わかりやすくツリー化して展示。エコ・ドライブ技術やら、今はこんな時計もあるのか、知らなかったと、素直に勉強できるコーナー。ほか、最新モデルの体験コーナーも。
会場要所にシチズンのスタッフが立っているので、質問もしやすい。

CITIZEN "LIGHT is TIME"」会期は11月24日まで(会期中無休)。開場は11-20時、入場無料。

「CITIZEN "LIGHT is TIME"」凱旋展 特設サイト
http://citizen.jp/lit/

スパイラル 公式サイト
www.spiral.co.jp/




+飲食のメモ。
この美しいインスタレーションを眺めながら、1Fの「スパイラルカフェ」で一時を過ごし、さらなる余韻を味わいたくなる。平日のティータイムは15-18時。
カフェは喫煙可。iPadのデジタルメニューにはIMGが入っていない=no picuture なケーキも数点あるので、入口にあるガラスケースの中身を確認してから入りましょう。

「モンブラン」と「ホットコーヒー」のセット、消費税込み1,240円なり。
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

SPIRAL CAFE
www.spiral.co.jp/shop_restaurant/spiral_cafe/