小湊鐵道+「市原湖畔美術館子ども絵画展」

千葉県《市原湖畔美術館》で開催中の「第2回市原湖畔美術館子ども絵画展」へ。美術館までの往路の途中、最寄り駅まで小湊鐵道に乗車する。
本展連動イベントとして、市内を南北に走る小湊鐵道では、展覧会初日から2月8日までの土休日のみ、始発の五井駅から終点まで1時間13分かけて往復する1車両が、特別仕様「市原湖畔美術館号」に。車両のヘッドマークを飾るのは、日比野克彦氏や北川フラム氏が審査委員に名を連ねる同展の審査において、みごと「小湊鐵道賞」に選ばれた小学4年生の応募作品。

小湊鐵道の会社概要に拠れば、設立は大正6年(1917)、営業開始は同14年。昭和3年(1928)に現在の終点・上総中野まで開通したが、当初の計画ではさらに先の安房小湊まで繋がる予定だった。社名は故に小湊鐵道と称す。
乗車車両に銘打たれた「キハ206」とは、キ=気動車(ディーゼルカー)、ハ=普通車、200型の気動車として6番めに製造されたことを表すと、今回の乗車で初めて知るに至る(同社公式サイト「小湊鐵道の豆知識」より)
中が覗き込めてしまう運転席も何やら渋そうな。車両内部の仕様も都内を走っている車両とはひと味もふた味も違ったようだが、初乗車のこの日は仔細に気付くに至らず。
小湊鐵道×美術館号は、幼稚園年長から小学4年生の計8人が描いた絵画が、吊り広告スペースに飾られ、車窓の一部をカラフルなグラフィックが飾る。
グラフィックはカッティングシートによるもので、「第2回市原湖畔美術館子ども絵画展」で会場構成を担当した安西一憲氏が代表を務める安西デザインスタジオが、市原とその周辺をイメージデザインした(参考:中川ケミカル Web Magazine「Hello!CS」2月5日更新ARTICLE 記事)。この日は、美術館でのワークショップを予定していた安西氏や関係者も乗車、盛んにシャッターを切っていた。
車窓のグラフィック例。「市原で何故に象?」という県外住民の疑問は、美術館最寄りの高滝駅下車後にスッキリと解消される。
途中の上総牛久を過ぎた辺りから、車窓の外にはのどかな景色が広がった。地元の人の話によれば、春には菜の花と桜、秋には秋桜が沿線に咲いて、レトロな車両と共に写真に収めようと、カメラを構えたいわゆる"撮り鉄"の姿が増えるとのこと(小湊鐵道公式サイトTOPページの写真が季節の情景と共に美しく、公式Facebookの「いいね!」も多いのは、全国の鉄道ファンに愛されている所以と思われる)

10:51高滝駅到着。乗ってみれば、あっという間であった。
下車した一同、走り去る車両をカメラにおさめつつ、お見送り。
上の画では線路が2本写っているが、左側は側線で、小湊鐵道はのどかな単線である。
無人駅の高滝駅を降りると、電車の到着時間にあわせて、駅舎の前に「市原ぞうの国」への送迎マイクロバスが停まっていた。



ダム湖にかかる鉄橋を渡り、《市原湖畔美術館》へ向かう。この時期はワカサギ釣りが楽しめるらしく、湖畔には秋には無かったビニールハウスが建っていた。
《市原湖畔美術館》は3か月半ぶりの再訪(前回の様子は10月12日ブログにて)
市原湖畔美術館はリノベーションを経て2013年8月にリニューアルオープンした施設。手掛けたのは有設計室(カワグチテイ建築計画から改組)
スチール折板の外壁と、色部義昭氏色部デザイン研究室/日本デザインセンター)によるサイン計画が特徴的。

この日は雲ひとつない晴天なれど、風が強く、前庭の芝もさらに凍てつくような寒さにて、外観撮影もせずにそそくさと館内に入る。

前回訪問時は無かったインフォメーション・サイン。
前庭に面したミュージアムショップ。開催中の展覧会に連動して、中央の平台は小湊鐵道グッズが満載。先の乗車車両の運転手さんも使っていた「キハ200形バッグ」もあり、これほどの品揃えは貴重とのこと。
常設作品「Toy Soldier」氏とも再会。いざ「市原湖畔美術館子ども絵画展」会場へ。
色彩に包まれた会場内。壁と床には道路を模したラインが走り、本展および絵の公募テーマである「いちはら、豊かな未来」を会場全体で表現している。黄色と黒のツートン・ラインは小湊鐵道をイメージ。
会場は1Fの第1、第2展示室とB1Fの第3展示室に分かれ、それぞれ市原の「街」、「海辺」、「みどり」に大きく区分された入選作品が飾られている。
前回見学時に開催していた企画展「原広司:WALLPAPERS ー2500年間の空間的思考をたどる〈写経〉ー」では、場内は撮影不可だったが、本展では児童が自分の描いた絵の前で記念撮影が出来るようにと、撮影およびSNS掲載が許可されている。絵を飾る位置も通常よりかなり低く、児童の背丈にあわせたものと判る。
第2会場「海」の手前の壁には、コンビナートのグラフィック。市原は海あり、山あり、川あり、養老渓谷には温泉もあり。
寄港と船、打ち寄せ、穏やかに揺れる波。場内のグラフィックは塗装ではなく、全てカッティングシートとのこと。
階段を降り、B1Fの第3展示室へ。
吹き抜け大空間を有するこちらの展示室には、子ども用の小さなテーブルと椅子と、大樹のグラフィック下にグリーン(人工芝)が用意され、ひと休みできる。こちらのフロアでは会期中、子どもも大人も参加できるワークショップが開催される。
コンセント・カバーや、壁の"グリーン"の上に、ワークショップの成果が。
ワークショップ参加者が作った新たなグラフィックー花や蝶、動物たちが、会場の壁に貼られ、今後はさらに増えていく。児童がのびのびと描かれた絵を、静寂を旨とする美術館を会場に並べて見せた本展。両者がこれほど見事にマッチした展示例は、少なくとも私の過去+近年ではちょっと他に覚えがない。
1Fへ戻る階段の蹴込み部分にも小さな草木が(これはワークショップ作品ではなく、オープン当初から描かれていたもの)
第2会場からミュージアムショップへ抜ける通路の脇、前庭に面したガラス壁に描かれた動物たちのシルエット。
市原の山林ではイノシシが捕れるらしい(この後、食事をしたレストランで実感するに至る)

第2回市原湖畔美術館子ども絵画展」は2月22日まで(小湊鐵道との特別コラボ車両は2月8日までの運行)。詳細は下記・美術館公式サイトを参照。

市原湖畔美術館
http://lsm-ichihara.jp/





飲食のメモ。
こんなに早くレストラン「Pizzeria BOSSO」を再訪できるとは。同行の皆さんに感謝。
美術館棟に隣接したレストランでは、店名が表す通り、房総の幸を使ったピッツアが味わえる。3か月半前とは当然、収穫物が変わり、季節のおすすめメニューに白菜とさつまいもが登場。
熟考、葛藤、悶絶、合議を経て、「房総マルゲリータ」(消費税別¥1,900)と「大多喜産天然イノシシのソーセージと八街落花生のピッツア」(同¥2,000)をオーダー。
黒胡椒のきいた自家製イノシシソーセージ(上の画:SUさん撮影)は臭みが全くなく、たいへんに美味なり。チーズはいずみ市のチーズ工房の手作りモッツァレラ。
旬の果物を包んで焼いたドルチェピッツアでシメ。どーんと載ったアイスは八街落花生ジェラート。
とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

Pizzeria BOSSO 市原店
http://beat-itn.com/restaurant/index.html