「東宝スタジオ展」@世田谷美術館

世田谷美術館》で先月21日から始まっている企画展「東宝スタジオ展 映画=創造の現場」を見る。
会場内は撮影禁止だが、1F受付前のロビーに展示されている、「東宝」の焼き印が押された木箱などを下敷きにセットされた「ゴジラ」のジオラマのみ、ネット掲載も含めて撮影可。

本展は、セタビ×地元企業の第三弾。資生堂、高島屋に続き、東宝砧スタジオ(1971年に東宝スタジオに改称)を取り上げる
膨大の一言に尽きる各種資料とともに、監督、美術デザイナー、衣装デザイナー、作曲家ら映画に携わった人々を紹介。「ゴジラ」と「七人の侍」を並べた第1室の展示では、1998年9月に逝去する黒澤明監督が、同年1月末に営まれた三船敏郎の葬儀で代読してもらうためにしたためた、自筆の「弔文」も(三船プロ所蔵)
ゴジラの展示コーナーには、第1作で対ゴジラ必殺の秘密兵器として使用された「オキシジェン・デストロイヤー」もあった。
自衛隊の戦車の砲塔がゴジラを狙う。
企画展会場では、第1作撮影時に出演者向けに用意された「ピクトリアル・スケッチ」の早回し映像などあり。《銀座和光(旧服部時計店)》がゴジラによって破壊されるシーンもばっちり描かれていた。
映像資料では、展示終盤の一室で、1952年(昭和27)の「生きる」から、昨年公開の「永遠の0」までの間に制作された映画のうち、計29作品の予告編がループ上映されている。予告編にも流行り廃りがあるのが判って面白いが、全て見終えたら1時間はかかっていたか。

個人的にツボだったのは、市川崑監督の絵コンテと、本展のために現役の職人が会場の壁に描いた「青空」(場内撮影不可につき、下の画はイメージ)
背景師の島倉二千六氏は、「ゴジラ」をはじめ、「マジック・アワー」や「巨神兵東京に現わる」など多数の作品に登場する背景画を担当。会場・白いクロスに青い塗料で空が描かれた後、島倉氏の出番。最初のうちは筆とヘラで白い雲を描いていたが、最終的にエアブラシを使用。ものの数時間で終了したという作業の様子を収録した映像資料は必見。残念なのは、青空をローラーで塗装した別の職人さんが、空の下にササッと出現させたビル群の輪郭が、展示パネルに隠されて見えないこと。

インターネットミュージアム Youtubeチャンネル(2015.3.3公開)

島倉氏は、3月7日に開催される関連イベント/映画講座「特撮技術」に登壇(先着150名、聴講料は無料)参考:セタビブログ(2015.2.17)www.setagayaartmuseum.or.jp/blog/2015/02/post_363.html
また、2Fの展示室では、ミューアジアムコレクション展III「世田谷に住んだ東宝スタジオゆかりの作家たち」も開催。梅原龍三郎が『婦人公論』の表紙シリーズのために描いた、雪村いずみの二十歳の時の肖像画が、まばゆいばかりに美しかった。(4月12日まで)
コーナー展示では、世田谷区深沢生まれの宮本隆司氏による写真シリーズ「建築の黙示録」も。解体された中野刑務所、アサヒビール吾妻橋工場、日比谷映画劇場、つくば科学万博パビリオン、サッポロビール恵比寿工場などの解体現場を写したゼラチン・シルバー・プリントである。

世田谷美術館「東宝スタジオ展 映画=創造の現場」は4月19日まで。一般入場料1,000円。詳細は美術館公式サイト参照。

世田谷美術館
www.setagayaartmuseum.or.jp/




+飲食のメモ。
世田谷美術館》といえば、併設のフレンチレストラン「ル・ジャルダン」が有名。平日ランチは1,300円と休日よりおトクだが、もそっとリーズナブルに利用できるカフェが3年前に地下の中庭に面してオープンしている。「SETABI-Cafe(セタビカフェ)」である。営業時間は10-18時(L.O.17時30分)
店のロゴは平野甲賀氏によるデザインとのこと。

ランチメニュー筆頭の「季節のガレット」をいただく。ミニサラダとドリンクが付いて、消費税込880円ナリ。
プロシュートとチーズを包み、ジャガイモのソテーが添えられた本日のガレット。けっこうな食べごたえ。ほか、サンドイッチ、スイーツ・ガレット、ケーキなどもあり。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

SETABI-Cafe(セタビカフェ)
www.setabi-cafe.jp/