「familiar×Qusamura -植物のあたらしい可能性-」@銀座


銀座8丁目にある、ベビー・子供服の高級ブランド「ファミリア」の銀座本店 familiar GINZA にて、「familiar×Qusamura -植物のあたらしい可能性-」が4月3日から始まっている。週末10日の夜に関係者が出席してオープニングが開催された。

広島にある植物屋「叢-Qusamura」の見立てによる、個性的な多肉植物が約100点、旗艦店1Fのイベントスペース「CUBiE」にズラリと並ぶ。会期中に作品の会場販売も行なわれ、"売約済み"の多肉ちゃん多数。

叢-Qusamura」は、店主の小田康平氏が2012年に立ち上げた店。サボテンなどの多肉植物ーそれもかなり個性的な、小田氏がよく使うところの「いい顔」をした植物に特化していることで知られる。
小田氏が仕入れるのは、成長の過程で曲がったり、傷が付いたり、枯れて一部が変色してしまった植物たち。市場では売りものと見なされず、業者のビニールハウスの隅に埃を被って転がっていたような、だがどっこいシブとく生きていた植物だった。そんな"異なモノ"たちに、生命としての力強さや美しさを感じとった小田氏は、接ぎ木(つぎき)という園芸の伝統技法によって、植物が元来もつ生命力と向き合いながら、さらに「いい顔」をした植物に育てあげる。さらには、それぞれの"顔"に見合った鉢を見たてて販売しているのも「叢ーQusamura」の特色。
本展の会場は子供服ブランドの「familiar」。会場の入口両側には、小田氏の未だ小さなお子さん2人が描いた、とても"いい顔"をした植物の絵が飾られている。上と下の画2点とも拡大ではなく描いたママのサイズである。かなりの力作。
出品された鉢はヨソにはないものばかり。例えば、ある鉢植えでは緑色のサボテンの先端に黄色(またはオレンジ)の花が咲いているように見えるが、違う種類のサボテンを接ぎ木したもの。いわゆる花屋さんで売っているのはいわば大量生産されたクローンで、表情もどれも同じだが、「叢ーQusamura」の鉢植えは違う。唯一無二の1品モノである。
さすがは小田氏のお子たちの作品。多彩な色づかい、確かな描写、大人顔負けの画力。
これらの絵を鉢と一緒に展示することが、本展のコンセプトのひとつだったので、絵も、植物と鉢も映えるよう、白を貴重とした会場構成となっている。4月1日まで開催されていた「familiar☓Makoto Kagoshima 器から飛び出す図案展」とはまた違う雰囲気に。
入口の正面の展示。子供服に囲まれた鉢植えの中央、ひときわ大きな植物の名は「残雪の峰」。出品中、最も高価な25万円(+消費税)の値がついていたが、既に売約済み。購入者が持ちきれない大きなものは、会期終了後にいったん広島に引き上げ、「叢ーQusamura」から改めて発送する。 
店名の「叢(くさむら)」の英語表記は"Kusamura"ではなく「Qusamura」が正式。"Question"の"Q"である(「叢ーQusamura」サイト〜コンセプトより引用)
鉢を焼いている陶芸家の藤川稔氏は、小田氏が「叢ーQusamura」を立ち上げる前に花屋を営んでいた頃からの付き合いとのこと。
オープニングパーティの席上、「今ではやきものだけでなく、サボテンも作る作家さんです」と小田氏に紹介されていた藤川氏を講師に招いて、本展の会期中、やきものワークショップ「あたらしいサボテンをつくろう」も開催される(要予約、参加費要)
上の画、名は「豹頭(ひょうとう)」、販売価格は¥23,000+税。
「叢ーQusamura」の植物は、壁に落ちる影までもが個性的(「小人の帽子」¥14,000+税)
なお本展では、外国からの観光客も数多く訪れる銀座という立地を考慮し、そのまま持って帰れる小振りの鉢植え(¥5,000+税)も用意されている。購入を考えていた人には大チャンスである。
店舗の2階にも鉢植えが置いてあったのでお見逃しなく(左:「岩牡丹」¥10,000+税、右:「黄金ホルスティ」¥10,000+税)
本展開催のきっかけは、(株)ファミリアの代表取締役社長を務める岡崎氏が、大阪で昨秋開催された「叢ーQusamura」の展示会を見たのがきっかけ。「大人でもこれほど心が動かされる作品を、子どもたちが目にしたら・・・」と岡崎社長が述べていたように、「叢ーQusamura」の鉢植えを触媒として、いったいどのような化学反応が起こるだろう? ワークショップで「新種のサボテン」の誕生と発見が大いに期待される。
会期は5月6日まで(定休日なし)。オープンは11-20時(最終日のみ18時クローズ)、入場無料。

ファミリア銀座本店「familiar×Qusamura -植物のあたらしい可能性-」
www.familiar.co.jp/index.php/m/event_detail?gf_evn=1168




+飲食のメモ。
前回のレセプションでのフードメニューも凝っていて、かつとても美味しかったが、今回もスゴかった。ズバリ、サボテンを使ったトルティーヤ、サングリアなど。
下の画は、リュウゼツランの一種の樹液:アガベシロップを使ったスイーツ。濃厚で抜群に美味しかったです。
フードの提供は、昨年9月まで銀座に店を構え、現在は新宿3丁目と池袋で営業している「AIN SOPH.GINZA」さん。
とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

AIN SOPH.GINZA(アインソフ ギンザ)
http://ain-soph.jp/