「大阪万博1970 デザインプロジェクト」@竹橋 近代美術館

竹橋の《東京国立近代美術館》で開催中の「大阪万博1970 デザインプロジェクト」を観る。
1970年(昭和45)に開催された大阪万博こと日本万国博覧会における、デザインが果たした役割について、当時の写真や図面を元に振り返る。2Fの展示会場は3章立て。岡本太郎の「太陽の塔」を仰ぎ見る、もしかすると「これ、45年前のわたし」とわかるくらいの大判写真には、記念撮影をしたり、グループでガイドを広げたり、45年前のある日の情景が切りとられている。

一般撮影は上の画のエントランス付近のみ、場内は撮影禁止。[インターネットミュージアム]がレポート上に公開している動画に共有リンクを設定する。

当時の日本万国博覧会協会会長がダメ出しをしてイチから作り直しになったシンボルマーク、段階ごとに数パターン用意されたポスター、1964年の東京オリンピックの経験値を踏襲したピクトグラム、記念切手や煙草の図案や原画、関連紙の表紙なども並ぶ会場。制作者として、亀倉雄策(1915-97)、早川良雄(1917-2009)、粟津潔(1929-2009)、田中一光(1930-2002)、福田繁雄(1932-2009)、真鍋博(1932-2000)、永井一正(1929-)、勝井三雄(1931-)、杉浦康平(1932-)、横尾忠則(1936-)といった、その後も第一線で活躍し続けたデザイナーあるいは画家たちの名が連なる。各館ホステスのユニフォーム(註.当時呼称ママ)を総覧できる25枚の写真パネルにはコシノジュンコ(1939-)、公衆電話まわりやサイン灯のデザインを榮久庵憲司、広場に置かれた彫刻作品を新宮晋(1937-)、山口勝弘(1928-)が手掛け、「万博博ホール」の緞帳の原画は堂本印象(1891-1975)が描いた。

第1章「万国博覧会を成功させよう プロモーションとデザインポリシー」

場内で最も見応えがあるのは、再生時間173分の公式記録映画だろう。観る場合は10:30、13:30に要スタンバイ。
建築分野での切り口としては、丹下健三による「大屋根」の模型、櫻をモチーフとしたシンボルマークの形状をした「日本館」の模型、そして横尾忠則が手掛けた「日本万国博覧会せんい館」の関連資料など。会場を俯瞰できる全体模型と、やや離れた場所に貼られた来場者向けガイドの片面いっぱいに描かれたイラストマップとを見比べるのも面白い。そして改めて思ったのが、カラフルで近未来的デザインが求められたというパビリオンの連なりは、TV「ウルトラマン」に登場する"光の国"に受け継がれているのだなということ。

第2章「未来都市の実験場」
動画撮影・公開は共に [インターネットミュージアム]

会場の終盤には、開催の前後に著された『われわれにとって万博とはなにか』(1969年)や芸術雑誌の特集号の表紙もあった。随記キャプションによれば、オリンピックに続く国家プロジェクトとして、当時のデザイナーらを総動員して準備され、推定以上の6,421万人が来場するなどの盛り上がりをみせる一方で、安保問題から国民の目をそらす"祭り"であるとの批判も当時は存在した。本展出品目録の通番1-94のうち、1/3近くを占める個人蔵の品も閲覧できる展示ではあるのだが、それではいったい「大阪万博」とは何だったのかという検証的視座は見当たらない。来場者の持ち帰りに委ねらる。

大阪万博1970 デザインプロジェクト」は5月17日まで。開館は10-17時。
常設展と《別館 工芸館》とセットで通常の観覧料は一般430円だが、会期最終日の5月17日(日)は休館日の翌日に控えた「国際博物館の日」に関連し、「大阪万博展」を含む常設展観覧料が無料に。また会期中は「各パビリオンの図解入り目録」を配布中とのこと(後で知る)
なお、同館内で開催中の「生誕110年 片岡球子展」も17日で会期終了。日曜は混雑が予想される。


企画展にあわせて入れ替えがある4-3階の常設展示。カメラ禁止マーク以外の作品は撮影可。その中には、同館に所蔵されながら数年前まで見る事が許されなかった藤田嗣治の戦争画や、藤田の代名詞でもある「猫」の絵も含まれる。前回開催された「高松次郎ミステリーズ」に出品されていた「No.273〈影〉」も(あの時はたしか撮影禁止だった筈だが)

次回企画展「No Museum, No Life? ―これからの美術館事典 国立美術館コレクションによる展覧会」のフライヤーが出入口で配布されていた。下の画はその一部(グラフィック・デザイン:neucitora
フライヤーによれば、「普段は表舞台に出ることのない、美術館と作品との関係性そのものに敢えて焦点を当て」るとのこと。国内5つの国立美術館が協力、6月16日から9月13日まで開催される。「高松次郎ミステリーズ」に続き、会場構成をトラフ建築設計事務所が担当する。

東京国立近代美術館(MOMAT)
www.momat.go.jp/





+飲食のメモ。
MOMATを訪れたついでに開拓中の《パレスサイドビル》飲食店街へ。
前回は「the 3rd Burger 竹橋パレスサイド店」、今回は同じ地下1階の真ん中辺りにある「カレーの店 タカサゴ」へ。店内は喫煙可。
看板の銘でカレーしかないのかと思ったら、さにあらず。しかしここはやはり「カツカレー」(税込み¥900)をオーダー。
出来上がりを待つ間、カウンター内のカレーがストックされた鍋の脇に、ボウルに盛られたトマトスパゲティが視界に入る。どうやらカレーとスパゲティが合体した「インデアン」なるメニューがあるらしい。
ハムカツ的薄さのカツの上からかけられたカレーは1口めは甘く、その後じわじわと辛味がキいてくる。ゴハンの量はかなりボリューミー。
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

パレスサイドビル》のホームページに店舗情報が載っているが、立地と店名で検索をかけると、下記記事が上位にヒットしたので参考までに。ビルのオープン当初からあり、飲食店としてはそれ以前から続く"老舗"とのこと。
「KANDAアーカイブ 神田学会」〜百年企業のれん三大記
www.kandagakkai.org/noren/page.php?no=22