内田繁デザイン展2015「茶の湯の風景」@桑沢デザイン研究所

渋谷の桑沢デザイン研究所で17日から開催されている、内田繁デザイン展2015「茶の湯の風景」を見学。

渋谷の喧噪を抜けて、カラフルなオブジェ《Tree》が配された会場に一歩、足を踏み入れると、静寂なる森の中に紛れ込んだような感覚に陥り、夏の暑さも忘れ、一気に作品世界に浸れる。

会場には、1993年に発表された3つの茶室《受庵・想庵・行庵》を中心として、内田繁氏内田デザイン研究所がデザインし、企画展などで発表してきたシェルフやテーブルなども展示されている。
上の画の奥:左から、《Beging the Beguine VI》《Begin the Beguine V》、柱を挟んで《Shelf02》《Shelf01》
手前:白い樹のような作品《Clound》の周りに、羊のようなスツール《Moo》の群れ。
3つの茶室、手前右から奥に向かって《行庵》《受庵》《想庵》。
茶室の構造材ごしの風景、光を透過して茶室の中と外それぞれに落ちる影も美しい。
本展では、靴を脱げば、各茶室内に入り、しつらえを真近で観賞することができる。《行庵》では風炉釜を除いて内田氏以外の作品。掛物は日比野克彦氏画による《満月》。
《行庵》の内部、にじり口を通して、《Clound》と《Moo》、さらに《Beging the Beguine》VとVIの眺め。
《受庵》の掛物は浅葉克彦氏による《黒白》、風炉と釜は内田氏の作品、一部既製品。
ちなみに浅葉氏は桑沢デザイン研究所の第11代めの所長を2011年から務め、前任が内田氏である。
《行庵》でも同様だったが、細かい格子の壁越しに、内と外の風景が入り交じる。
内田氏の著作『普通のデザイン』(2007,工作舎)の第2章、茶室について書かれた文章(P/042-044)のなかに「空間を壁で囲うのは当然だと思えるかもしれませんが、古来、日本の建築には壁は存在しませんでした。」「日本の空間はがらんどう」という指摘があり、「自然の微細な波動、風、音、光などを感じ」られるよう、「茶室がそのまま自然の一部であることを示す」という作品かと思われる。
"壁"の外と内側が和紙で覆われた《想庵》。
ヴェネチアン・グラスの茶碗、金子透氏によるガラスの茶器など、和と洋によるこのような自由な組み合わせもアリなのだと、見るものに思わせるしつらえ。

会場には、テーブルを使って手前をする立礼《地蔵院卓》も。釜と茶器も内田作品。
屏風は浅葉克己画《雨にむかいて月を恋ひ…》。この屏風と内田氏の立礼卓の組み合わせは、昨秋に銀座で開催されたアートイベント「THE MIRROR」にも出展された。
長友啓典氏による屏風《顔》と、内田氏がデザインしたテーブル《East of the Sun》を挟んで、チェア2脚《岡崎の椅子》、タマゴ型のランプ《l''uovo(ウォーボ)》。
屏風《顔》の一部のアップ(自分の顔にソックリなのがあった...)
《Cloud》越しに、水のインスタレーション《Dancing Water》。内田氏がインテリアデザインと外観監修なども手掛けた《THE GATE HOTEL 雷門》や《銀座グランドホテル》のホールやロビーなどで、その場に応じて仕様にデザインされた作品を見ることができる。
内田繁デザイン展2015「茶の湯の風景」は、桑沢デザイン研究所 1階P1ホールにて、7月28日まで。開場は11-19時(日曜は17時、最終日は16時まで)、入場無料。

内田デザイン研究所
http://www.uchida-design.jp/
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+飲食メモ。
桑沢デザイン研究所の裏手にあるカフェ「Au Temps Jadis / CREPERIE(オ・タン・ジャディス/クレープリー)」にて休憩。1985年開店、今年で30周年を迎える。
石に貼られたメニュー表と、赤レンガの外観が目印。ジャディスといえば、仏ブルターニュ地方の伝統的なガレットとクレープが有名。
定番「バターと塩のクレープ」(消費税別¥650)と、オリジナルブレンド紅茶(同¥700)。小皿の上のミニドーナッツはサービス♪
ぜんぶおいしい。特にそば粉のクレープは、もしも私の両頬に"袋"があったなら、ずっと蓄えておきたい感じ。
紅茶はアールグレイがブレンドされた好みの味。ポッドでサーブされ、ゆうに3杯分。
店舗は地下1階にあるが、ドライエリアから光が差し込むのでとても明るい。テラス席もあり。
とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

Au Temps Jadis / CREPERIE(オ・タン・ジャディス/クレープリー)
www.many.co.jp/jadis/