「村上隆の五百羅漢図展」@森美術館

六本木ヒルズにある《森美術館》で開催中の「村上隆の五百羅漢図展」を観る。
《円窓》シリーズより(2015,170×144.7cm|Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Right Reserves)

場内はマナー遵守の撮影、SNS上の共有も可。スマホに限って動画もOKという場内撮影規定は初めて。
何故に村上隆氏が五百羅漢を? 理由については後述。
最初の展示室:ギャラリーI。
向かって右側:《円窓》のシリーズ6点、左側:《宇宙の深層部の森に蠢く生命の図》(2015 240×3,045cm)
上と下の画・手前の立体:《宇宙の産声》(2005 金箔,FRP)

《南無八幡第菩薩》《真っ白シロスケ》《君は空洞、僕も空洞》(3点とも2015)
《君は空洞、僕も空洞》(アクリル,カンバス,アルミニウム・フレームにマウント)の部分。遠目には白い地に見えるのだが、寄ってみると、表面は立体的な無数のガイコツで埋め尽くされている。
《達磨大師》(2007 アクリル,プラチナ箔,カンバス,板にマウント)に限らず、作品に寄ってみると、何やら漫画的な人物が描き込まれている作品が多い。
ホール2《大仏 オーヴァルシルバー》(2011 銀)
さて、場内の解説パネルに拠れば、この後の展示室に登場する「五百羅漢図」の大作は、2009年から2011年にかけて『芸樹新潮』誌上に連載された「ニッポン 絵合わせ」がきっかけで制作された。日本美術史家の辻惟雄氏が若冲や蕭白といった絵師に関するエッセイを披露、対する村上氏が新作を制作するかたちで進行。そのひとつ、十九番の回のお題が(前後期で来年3月まで《増上寺》で公開中の)狩野一信画の五百羅漢図であった。計21回の"勝負"の内容はパネルで確認できる(上の画・左の作品は、絵合わせの十番:井上有一「貧」へのオマージュ、《人、『貧』すると己を『貧』とは評せずに『ヒンヒン』と喘ぐしか無し》
ギャラリー3《五百羅漢図 [白虎]》(2012 アクリル,カンバス,板にマウント 302×2,500cm)
前述・『芸術新潮』誌上の"絵合わせ"に関連するモチーフが散見できる。
《五百羅漢図 [青竜]》(2012 アクリル,カンバス,板にマウント 302×2,500cm)
ギャラリー4《五百羅漢図 [玄武]》(2012 アクリル,カンバス,板にマウント 302×2,500cm)
上と下の画:《五百羅漢図 [朱雀]》(2012 アクリル,カンバス,板にマウント 302×2,500cm)
これらの大作がどのように制作されたのか、youtubeで公開されているメイキング映像でも明らかだが、ギャラリー3と4と間にある展示室でも、過程や各種資料が公開されている。
中世の終わりに日本画壇を席巻した絵師集団・狩野派の制作システムを、最新のツールを使って現代に蘇らせた。
デジタル加工とはいえ、人の手がつくり出すもの。指示書の走り書きは生々しい。


古典からの題材だけでなく、TVアニメ「ヤッターマン」に登場するドクロベエ、宮崎駿、水木しげるなど、近年のジャパン・カルチャーからもモチーフは多数。「村上隆の五百羅漢展」の会期は2016年3月6日まで。

森美術館「村上隆の五百羅漢展」
www.mori.art.museum/contents/tm500/




+飲食メモ。
六本木ヒルズ内大屋根プラザでは、25日の21時まで「クリスマスマーケット2015」を開催中。ドイツ大使館などの協賛で、骨付きソーセージが豪快にインしたスープ「アイントプフ」(消費税込み¥600)など、ドイツ料理やクリスマスグッズを販売する大小の屋台11軒が並ぶ。

あったかいスープ、美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

「六本木ヒルズ クリスマスマーケット2015」
www.roppongihills.com/christmas/2015/