セシーズ・イシイ7 「PASAR SHINJO」オープニングイベント

川崎市中原区内で開催されたイベント「新城 暮らしのパサール」へ。

会場は築25年の賃貸共同住宅「セシーズ・イシイ7」1階共有部分。暗く閉鎖的な空間の刷新を依頼されたブルースタジオがバリューアップ、まちの広場「PASAR SHINJO(パサール新城)」として1月24日にオープン、地元住民へのお披露イベントである。

事業主:株式会社セシーズイシイプロパティーズ
企画・設計監理:株式会社ブルースタジオ


最寄り駅はJR南武線武蔵新城。北口を出て徒歩1-2分という至近。
「新城北口はってん会」商店街を入り、路地を左に入ったところにある。
下の写真で改修前の状態がわかるが、以前は室外機が置かれ、ごみ集積所もあった一角。駅前という場所柄どうしても安易な空き缶投棄などもあって見苦しかったが、それらを敷地内の別の場所に移し、明るいアプローチを整備した。
改修前の共有部の写真6点。なお今回は2階以上の住居部分はいじっていない。
オーナーはこの地域で代々不動産業を営む石井氏(ブルースタジオのプレスリリースから引用すると、氏は"駅周辺に先代から受け継いだ18棟・370 戸の賃貸共同住宅を所有し、地元に根ざした不動産事業を展開"している。貸主である(株)南荘石井事務所と連名の事務所公式FBによれば、セシーズ・イシイシリーズのなかでも最も大きい物件がこの建物。
イベント出展中の地場野菜直売所と雑貨店の背面にあるので見えないが、共同住宅の玄関口だった部分をスケルトンの状態に戻し、物件オーナー直営のカフェ[新城テラス]が入る。この日は上の画・左隅の共有エントランスで搗かれた餅がせっせと運ばれ、あんころ餅ときなこ餅の生産場に。
改修のきっかけは、近隣にファミリー向け分譲マンションが建ち、新しい住民が街に増えてきたことがひとつ。自社物件ではないながらも、この地に長らく住んでいたオーナーの石井氏としては、街に親しんで、古い住民たちとも交流して欲しいという想いがある。だが「場所」がない。そこで、自社の《セシーズ・イシイ7》の一部を改修し、新旧の住民が交流できる、街に対して開かれた"広場"とすることに。単身者ばかりの《セシーズ・イシイ7》の住民にとっても、人と街に接する機会になればいいと、"大家さん"は願っている。
オープニングイベントにはオーナーの声掛けで、アクセサリー雑貨やフレンチ総菜など15の店が集まり、軒を並べた。地元で人気というパン教室「Baking Studio sucre a la neige(ベーキングスタジオ シュクレ・ア・ラ・ネイジュ)」のスタジオが、上の画・右奥の一角で一足早い1月18日に移転オープンしており、この日は販売も(店名は"雪のお砂糖"という意味らしいが、うっすら砂糖をまぶした焼きたてふわふわのミニ山食¥200、ごちそうさまでした)
企画・設計管理を担当したブルースタジオがつくり上げたのは、商店街から連続した路地裏のような半公共空間。
ブルースタジオが昨夏に手掛けた《ホシノタニ団地》でも、オープン時に同様のイベントが開催されているが、同社専務取締役の大島氏いわく、「僕らが本当にやりたかったのはこういうこと。ハードではなくソフト、状況をデザインすることをいつも心掛けている」。
以前は資材置き場だった北側棟の1階部分。テナント貸し出しも想定しているが、しばらくはこのままでイベント空間としてフレキシブルに使う見込み。
以前は塩ビ波板が掛けられていた空間は見晴らしよく、古びた鉄柵扉も撤去されて広々。足もとを地元の子どもたちがワークショップでつくったモザイクタイル装飾が彩る。
住民用駐輪場入口は上の画の奥に移動(通常は施錠される)

本稿の写真はどれも、来場者が居なくなった一瞬の隙をついて撮ったものだが、おじいちゃんおばあちゃんから小さな子、ベビーカーを押したファミリーまで、13時過ぎの「パサール新城」は大盛況。用意されたベンチに座るのもスキをみてようやく。11時のオープン時はもっと人いきれの状態だったそうで、イベントの浸透ぶり=オーナーの人脈の広さがうかがえる。
上記パン教室の作ではなく路面店で入るカフェのメニュー候補と思われる、ハムとチーズのフォカッチャサンド(¥300)と、コーンスープ(¥100)で腹と身体を暖める。
さらにグアテマラコーヒー(¥300)のドリップを待つ間に、
建物の北側の裏手にあるというパン屋から、出来たての特製「黒くろゴマきなこパン」(¥100)が到着。お昼ご飯抜きで行ってヨカッタ。

南荘石井事務所 / セシーズイシイ facebook
https://www.facebook.com/seses.ishii/





+飲食のメモ。
前掲・特製きなこパンの製造元へ。[OLIVE CROWN(オリーブクラウン)]のおいしいパンは、"安心安全な素材を選んで粉からつくっている"こと。
「例えばおいしい食べ物など素敵な何かにそこで出逢った時、この街にまた来てもいいかな、住んでみてもいいかな、という気になってくれるかもしれない」と、マルシェ系イベントに期待する効果を関係者が挙げていたが、さもありなん。
パンドミーとブランチショコラをテイクアウト。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

OLIVE CROWN(オリーブクラウン)
http://olivecrown.tokyo/