資生堂パーラー ウインドー×中村竜治

東京銀座資生堂ビル》1Fの「資生堂パーラー 銀座本店」のウインドー・ディスプレイを中村竜治建築設計事務所がデザイン、先月からお目見えしている。

通りに面したガラス面には、先月28日まで地階のギャラリーで開催されていることを示すグラフィックが貼られ、中村作品がその陰になっていたのだが、お役御免となった1月29日にサインが撤去され、外からでも全景が見られるようになっている(本稿の内観写真は1月21日撮影のもの、外観の2枚は中村竜治建築設計事務所提供)

ディスプレイを目当てに行った場合、中央通りと銀座花椿通りに面したガラス面に、銀座7丁目の《資生堂銀座ビル》も含めて開催中のイベント「BEAUTRY CROSSING GINZA 銀座+ラ・モード+資生堂」のサインが表示されているため、サイン撤去前は、外からの眺めでは中村作品は残念ながらサインの陰に。

注記.店頭にて店内からの撮影およびSNS掲出可否確認、了承を得ています

《東京銀座資生堂ビル》新春ディスプレイ2016作品「風景」
主催・ディレクション:株式会社 資生堂
設計:中村竜治建築設計事務所
施工:現代工房
照明計画:MGS照明設計事務所
テーマは、旅。「連なる道、山、波、雲などがイメージされる風景のような形を考えた」(中村事務所発信のリリースより、以下の引用も同様)。中央通り側の作品は、厚さ9mm、計13枚の合板がジグザクに組まれている。
材は針葉樹合板。幅約2mのウインドーの幅より若干長いサイズで、ジグザグに組んでいくことで三角形の隙間が生まれるのだが、上からの荷重によって、それぞれの合板のたわみが変化し、そのままのかたちとなってあらわれる。固定金具やピアノ線の類いは見当たらず、この状態で安定させているのが凄い。
奥行き0.9mmの側面の縦方向に、細い凸起物が走っており、合板の端に加工された僅かな溝の凹部分と合わさっている。これは横揺れへの備えとのこと。
どの接点も壁から僅かながら意図的に離され、隙間が確認できる。
それにしても、こんなレールが元からあったかしらと、店頭で資生堂のスタッフに確認したところ、今回の展示のために、また既存の壁を傷つけないようにあつらえたものだという。
左の画は、年末年始のウィンドー・ディスプレイ(リニューアルした「花椿マーク」のオブジェ、中村竜治事務所のデザインではナイ)。スポット照明のダクトレールがあったのだとわかる。さらに1年前、中村竜治氏によるウインドー展示「首飾りnecklaces」ではスポットをあてていたが、今回の展示ではこのレールの部分を塞いでいる。既存の壁と同じ色で塗装して、パッと見にはわからない、元よりこういう状態だったかのような見事な仕上がり(廉価な構造用合板などと思うなかれ)
銀座屈指の老舗の店内、高い精度と安全性が求められた。中村事務所に確認したところ、事前に実物大のモックアップを組んで、合板のたわみの具合からサイズと枚数を決めたとのこと。
銀座花椿通り側の「風景」は7枚の合板で構成。
両側にスポットがないので、日没後はいったいどういう見え方になるのか、気になる。
ウインドーでの展示は3月15日まで。


2月13日追記。10日ほど前からこのような仕様に。
たわんだ合板の上にピシッと縦一列に配されているのは、資生堂パーラーの定番「花椿ビスケット金缶」。この縦長の空間全体が、まるで巨大な陳列棚のよう。



+1の飲食メモは、前掲・中村竜治建築設計事務所が会場構成を手掛け、先月28日に会期が展示終了している資生堂ギャラリー見学備忘録にて。