「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」@六本木ヒルズ

元旦から六本木ヒルズ52Fスカイギャラリーで開催している「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」を観に行く。会期は2月14日まで。

会場は《森タワービル》52階、通常は「東京シティビュー」という展望エリアで、外周部分の約3/4を占める(森アーツセンターを内包する)。以前こちらで「ドール・カルチャー展」を開催した際は、外の景色がいささか展示及び世界観の構築の邪魔となるためか、壁を立て込んで内と外を極力"隔離"していたが、本展では逆に、昼と夜の"東京シティビュー"が相乗効果をもたらしている。
会場に入ってすぐの展示:「バックミンスター・フラーが考案したダイマキシオン・エア・オーシャン平均気温の世界地図にフォスター+パートナーズが完成させたプロジェクトをマッピングした図」によれば、圧倒的に生まれ育った英国での仕事が多く、日本に竣工した作品は数件ほど。
見られたリチャード・バックミンスター・フラー(1895-1983)へのリスペクトはさらに続く。場内の解説によれば、ノーマン・フォスター(1935-)は、1971年から83年にかけてフラーと協働しており、フォスターの自邸(オートマス・ハウス)の設計計画もあった。
再現されたダイマキシオン・カーとフライズアイ・ドームの前で、フラーと同じポーズをとっている写真からは、フラーの遺志を受け継ぐ者は我であるという強い自負が感じ取れる。
ダイマキシオン・カーが添えられた《オートノマス・ハウス》S=1:30模型
並んで置かれた《ウィリス・フェーバー・デュマス本社》(英国、1971-75)のS=1:30模型は夜間は内部の照明がカラフルに点灯(模型制作:千葉工業大学今村研究室)以降、日中と日没後の写真が混在する。
《セインズベリー視覚芸術センター》(英国、1974-78)
上の画は夜間の撮影。
《ドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク》は、第二次大戦中に連合国側の攻撃によって破壊されたドーム及び建物の復興計画(1992-99)。コンペによって選出された英国人のフォスターが、ガラスでドームを再生、東西ベルリン統一の象徴に。
《同、ライヒスターク》コンペ提出案断面模型 S=1:200
手前:《カレ・ダール》
手前:《ベルリン自由大学》模型(1997-2005、S=1:100)
奥の高層ビル模型:左から《ミレニアムタワー》、東京に現存する《センチュリータワー》、《コメルツ銀行本社ビル》、《スイス・リ本社》、《ハースト・ビル》、《香港上海銀行・香港本店ビル》ほか。
《425パーク・アベニュー》などこれらの高層ビルの模型展示は、日中は外のTOKYOビューとマッチして良いが、照明が点灯する夜間も雰囲気が出て美しい。
《スイス・リ本社》の別称"ガーキン"とは、ピクルスなどで使われる小さめのキュウリのこと。
《チュサ・フトゥーラ》スタディ模型 S=1:100(スイス、2000-2004)は、会期中に特別上映された2010年公開の映画「フォスター卿の建築術」の冒頭にも登場(参考:1分45秒の予告編/youtube)
日本では数える程度のフォスター作品のひとつ、《鎌倉の住宅》(1997-2004)と《川奈の住宅》(1987-1992)。前者は所有者が変わり、2017年に「鎌倉歴史文化交流センター(仮称)」として再オープンする予定(鎌倉市2014年3月発行のリリース
その国の顔となる国際空港(手前:中国《北京首都国際空港》、奥:ヨルダン《クィーン・アリア国際空港》、壁:《メキシコシティ空港》のプレゼンテーション模型)や橋など、公共の巨大建築構造物も手がけるフォスター+パートナーズ。
手前:《ミヨー橋》(1993-2004)は、2.46km離れた2つの高原をつなぐ。フォスターは自国でも1996-2000年にかけて吊り橋《ミレニアム・ブリッジ》を手がけ、テムズ川に新たな名所を出現させた。
《ドレスデン中央駅》でフォスター+パートナーズが手掛けた部分の模型。
香港、中国《西九龍文化地区》コンペ提案模型(2009)
こちらの模型も夜間の方が華やかで、いかにもホンコン。
フォスターのイマジネーションの翼は地球外へ。
NASAが募集した火星住居建築コンペに提出された、4人用住居の模型(2015)。現地で採取した砂を、半自動制御のロボットが操作する3Dプリンターを用い、資材をできるだけ持ち込まずに基地を建てる。
フォスターは建築のほか、インダストリアルや家具なども幅広く手がけている。モールトン社の自転車は、卿自身の愛用品とのこと(場内の品は個人蔵による特別展示)
「デザインは人々の欲求から生まれる。ーー精神的そして物理的に。
空港のスケールからドアハンドルまで、これが常に指針である。ーーノーマン:フォスター
モルテーニ社から販売されているコーヒーテーブル《TESO》。
ウォルター・ノル社の《FOSTER 502》などのシリーズ、ヴィトラ社から出ているシステムファニチャー《AIRLINE》などが液晶スクリーンを向いて置かれたラウンジは、来場者の休憩コーナー兼最後の展示室(制作協力:インターオフィス|同社ニュースリリース。会期中の金曜夜には前述の映画「フォスター卿の建築術」(78分)が上映された。

「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」
www.mori.art.museum/contents/foster_partners/




19時からの映画を観て、改めて模型を見るなどしていると、あっという間に閉場する21時近くに。週末に会場内ラウンジにオープンするカフェは21時までだったので、やむなく外へ出て新規開拓。ノースタワーB1Fの「sakura食堂」で遅い夕食。
店内の利用者の99%が女性。盛りもなんとなく女性的。「ポークジンジャー りんごと玉ねぎのソース」は¥1,080+消費税。向かいに座る連れがオーダーした「煮汁たっぷりとろとろ肉と根菜の黒酢バルサミコソース」も同じ値段。ゴハンは白米か玄米が選べる。
ごちそうさまでした。

sakura食堂
www.roppongihills.com/shops_restaurants/restaurants/japanese/201110004.html