「玉川堂 200年展 〜打つ。時を打つ。」@POLA MUSEUM ANNEX

銀座1丁目のPOLA MUSEUM ANNEX にて4日から始まる展覧会「玉川堂 200年展 〜打つ。時を打つ。」のオープニングレセプションへ。
新潟県・燕三条で、鎚起銅器の技を継承してきた玉川堂(ぎょくせんどう)の創業200周年を記念するもので、東京での展示に先立ち、地元の燕市産業史料館で開催した展覧会の巡回。4月に開催1816年に創業した初代玉川覚兵衛から数えて七代目の玉川基行氏に至る200年間の代表作26点が一堂に。

鎚起銅器(ついきどうき)とは、一枚の銅を金鎚(かなづち)で打ち起こしながら成型される。銅は叩くと強度が出る=硬くなるため、火炉に銅器を入れて柔らかくしながら、叩いて伸ばすのではなく「縮める」のだそうで、様々な工程を積み重ねて作られる。
200周年を記念して一新されたロゴは、同社を代表する技法「大鎚目」からインスパイアされたデザイン。職人が金鎚で銅器を「打つ」作業と、時を重ねるほど美しさを増す玉川堂の銅器の魅力を表現。
東京には2014年8月に、骨董通りに「玉川堂青山店」がオープンしている。 会場だけの特別限定販売もあり。
会場の一角には作業場も再現。職人による実演を連日開催。
座った時に手元に来る鉄の棒は「鳥口(とりぐち)」と呼ばれる、同社が開発したオリジナルの道具で、通常は背面に幾種類も掛けられている。作る器の形状によって交換して使い分ける。金槌も同様。
会場では作業風景を撮影したスペシャルムービーも上映。
上の画・左側手前の赤茶色の火鉢が「大鎚目」によるもの。五代目の作品。純銀や彫刻など、代によって得意とする技法があり、作風も異なる。基本的に"使われる器"であるため、代が遡るほど現存する品は少ないが、乾拭きによる風合いの変化を確認できる。
本展のために製作された最新作は、七代目基行氏と、本展の空間構成を担当したスペースコンポーザーの谷川じゅんじ氏JTQ Inc. CEO)による《MOON》。鏡面仕上げのステンレスと鎚起銅器を組み合わせたデザインで、花器、ワインクーラー、インテリアオブジェなど用途はさまざま。
MOON》は2013年に七代目と谷川氏により第1作(下の画、左側)がデビューしている。前回はステンレスを受ける曲面の器の表面が青かったが、今年の《MOON》には江戸時代から伝わる特殊な金属技法「木目金(もくめがね)」が使われている。
上の画・右は、人間国宝玉川宣夫による《木目金皿》。昭和50年代の製作。
水を打ったように静謐な黒い展示台。表面は流動パラフィンという液体(ベビーオイルに使われる油)。場内の埃などを適度に吸収し、沈ませるので、漆黒面が美しく保たれる。
玉川堂 200年展 〜打つ。時を打つ。」は6月19日まで。開廊は11-20時(入場は閉場30分前まで)、入場無料。無休の会期中、ギャラリートークや体験ワークショップなども開催される。

玉川堂
http://www.gyokusendo.com




飲食のメモ。
階下2階にある「HIGASHIYA GINZA」で催されたレセプションパーティにもおじゃまする。
和の惣菜はもちろん、冷煎茶と笹に巻かれたおにぎり、美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

HIGASHIYA GINZA
www.higashiya.com/