オカムラデザインスペースR 第14回企画展「木のパーティション」

紀尾井町のオカムラデザインスペースRにて、この時期恒例の企画展が20日から始まる。14回めとなる今回は、企画建築家に西沢立衛氏SANAA西沢立衛建築設計事務所、協働者として構造エンジニアの金田充弘氏オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズを迎えての「木のパーティション」。
建築家と建築以外の領域の表現者との協働によって初めて可能となる、新しい空間・風景づくりを毎回目指す企画展。 19日の夜にレセプションが開催された(下の画:左端から、金田氏、西沢氏、企画実行委員会委員長の川向正人氏)

「木のパーティション」を構成している材は、突き板などに使われるスライス状のヒノキの無垢材で、厚さ2mmという薄さ。ハサミで容易にカットできる。
左の画は展示サンプル用に丈が短い現物。会場にはロール状態で納品され、紙のように平たい。スライスされる前の丸太は防虫処理などで塩水に浸かって保管されるため、納品時もまだ湿っていた。搬入から設営まで約3週間の間に乾燥し、表面に微妙な凸凹が出てくる。今回の「木のパーテーション」は、この三次元曲面の形状や、木目の美しさを生かしたもの。

会場入り口側からの眺め。ふしが多い部分を選んでこちらに向けている。
画面中央にアタマが覗いている白い柱のあたりが、従来では展示空間と通路とのおおよその境目。元の図面はあるものの、木の状態を探りながらの設営するうち、当初の予定よりボリュームが大きくなり"越境"したとのこと。却って迫力が増したような。
1本の丸太から約30mの長さでスライスできるが、人力で作業することを考慮し、10m単位にカットして会場に搬入。端など一部で欠損していたり、乾燥による亀裂で割れることもあり、乾いた表面を再度湿らせるなどいろいろと試しながらの設営に。
設営時は治具も使ったが、今は完全に支えなしで自立。
「木のパーティション」で囲われた打ち合わせスペース。テーブルと椅子は岡村製作所製品。
パーティションの表面には、加工時のおがくずが生々しく付着(場内2か所で稼働する大型加湿器が、作品の乾燥および粉塵化することを防いでいる)。場内はヒノキの香がかなり強い。搬入時はもっと強かったとのこと。
「木のパーティション」の内側は外周部に沿って通路が設けられ、通行ができる。
高さは1.8m、視覚としては外界から遮断される。「人間の背丈くらいの高さでやりたかった」と西沢氏。金田氏は「昔は構造計算なしでもモノは建っていた。来場者に『どの辺が金田さんの仕事ですか?』と訊かれるが、参加してますよ(笑)。僕からすれば完全にエンジニアリングな作品」との談。
エントランスと反対の側。こちらはふしがない面を選んで立て込んだ。
外周部の外側には、西沢事務所が用意したスチールの椅子が三脚置かれている。休憩用ではなく、パーテーションの中を覗き込むためのもの。
場内最深部から、ガーデンコートエスカレーター側の眺め。
「木のパーティション」の中心部、密集地帯の眺め。
パーテーションを全てつなぎ合わせた場合、全長は約250mにおよぶ。
オカムラデザインスペースR 第14回企画展 「木のパーティション」は8月5日(金)まで。オープンはショールーム開館時間に準じ、平日は10:00~18:00、土曜10:00-17:00、日曜休館(7月24日、31日)。入場無料。

オカムラ ガーデンコートショールーム
www.okamura.co.jp/company/showroom/




飲食のメモ その1。
19日の夜のレセプションでは、西沢氏が事務所へのケータリングサービスなどで日頃からお世話になっているという森村芳枝氏(タイ料理研究家、サロン ヨシエズキュイジーヌ主宰)が特別メニューを用意、卓上を美しく彩った。
森村氏は一般社団法人日本豆腐マイスター協会の理事(料理担当)も務め、エスニックのほかに豆腐料理も(上の画の右上:江戸時代のベストセラー『豆腐百珍』から再現したという「玲瓏豆腐」の作り方はびっくりするほど簡単)。美味しゅうございました。ごちそうさまでした。



飲食のメモ その2。
同じガーデンコートにある[KATO'S DINING & BAR] にて高級かき氷を食す。9月30日までの期間限定メニュー(L.O.16:30)
ホテルニューオータニのグランシェフが手がける「サツキ江戸かき氷」は、氷とシロップも厳選の天然素材。
いちご、メロン、抹茶、和三盆など5種類すべての頂にマカロンが鎮座する。 
左の画は「マンゴー」(¥1,800+サービス・税)。葛入り濃厚マンゴーピューレ、蒟蒻粉を使ったマンゴーゼリーに甘酸っぱい果実も皿の底にたっぷり。
サービスの緑茶も美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

KATO'S DINING & BAR
www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/kato/