「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展」@ DESIGN TOUCH 2014

東京ミッドタウンで17日から始まった「DESIGN TOUCH 2014」にあわせて、「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展」が開催されている。
出展者(敬称略):谷尻誠、トラフ建築設計事務所(鈴野浩一/禿真哉)、中山英之、長坂常・藤村龍至、藤原徹平、吉村靖孝
企画:岡田栄造氏S&O DESIGN
主催:株式会社エヌ・シー・エヌ(以下、NCN)


SE構法とは「Safety Engineering」の略。工場でプレカットされた木材(一定の強度が保たれた集成材)で建物の構造となる軸を組み、柱と梁の接合部分は欠損を極力抑えたSE金物で剛接合(ごうせつごう)する施行方法(下の画の右:接合部分の画、耐震SE構法を提供している本展主催者:NCNのテクニカルガイドブック)。鉄骨造やRC造と同じラーメン(骨組)構法なので、木造でも高い耐震性能を有し、大スパンによる大空間・大開口が可能となる。
詳細:NCN 耐震構法SE構法とは http://www.ncn-se.co.jp/se/
内覧会配布物:画面左下が本展のパンフレット。グラフィックは原田祐馬氏が担当。
中央の小冊子「家づくりの大事な話」のイラストはNoritake氏。

NCNは会社設立の2年後の1998年に、代官山で「7人の建築家によるSE構法住宅展(SELL HOUSE展)」を開催している(当時の出展者:押野見邦英、城戸崎和佐、内藤廣、難波和彦、平倉直子、古谷誠章、横河健)。今回の「MAKE HOUSE」展では、テーマにである"木材のパーツ化"が可能にする住まい方、木造住宅の新たな原型となるような住宅を、7組それぞれが提案している。構造面の監修者としてSE構法の開発者である構造建築家の幡繁氏、ならびに池田昌弘氏MASAHIRO IKEDA co., ltdを迎え、NCNでは7案のうち少なくとも1作品を来春以降に商品化する意向。
ガレリア・コートヤードに出現した、白いテント膜に覆われたドーム形の会場は、もちろんSE構法によるもの。幡、池田両氏監修のもと、NCN社内の設計部がデザインした。
「パーツ化」のメリットは様々に考えられるが、家づくりがよりシンプルになることで実現可能な住まいのかたちとは何か。以下、7組の建築家各案を、出展模型などで見ていく(テキストは、内覧会配布物を元とした。パンフレットの内容は公式サイトで配布している電子版でも見られる)
中山英之中山英之建築設計事務所「大中小の家」
「家の中にもうひとつ小さな家を持つ」ことが可能な住まい。

長坂常スキーマ建築計画「つくる家」
業者が構造部分だけつくった後は、購入者が自由に内部をつくる=セルフビルドする、スケルトン&インフィル案。

会場内天井見上げ。
テント上は7組8名全員が、テント下の柱には出展者のブースを示すサイン表示。原田祐馬氏UMA / design farmによる、実に見事なクリソツ似顔絵である。
谷尻誠SUPPOSE DESIGN OFFICE「高床の低い家」
斜面にも水辺にも建てられることで、豊かな空間を獲得できる、というコンセプト。

鈴野浩一/禿真哉トラフ建築設計事務所「開かれた家」
こちらもスケルトン&インフォル案。住まい手のライフスタイルの変化によっては、例えば1Fをギャラリーや教室にするなど、街に対して"開く"ことを想定した住まい。

吉村靖孝吉村靖孝建築設計事務所「アプリの家」
ユーザーが直接設計できるソフトウェア(アプリ)を開発する。SE構法の利点である容易な構造計算だけでなく、費用の計算まで可能になる。CCハウスを提唱している吉村氏らしいプラン。

藤原徹平フジワラテッペイアーキテクツラボ「内と外の家」
コンセプトは「MAKE HOUSE」公式サイト〜設計者:藤原徹平インタビュー[vol.001]でも公開されている。

藤村龍至藤村龍至建築設計事務所「柱と梁の家」
上記に同じく詳細は、藤村龍至インタビュー[vol.001]以降を参照。

会場には、SE構法を採用した住宅の模型も
2点出展されている。
下の写真、手前:「無印良品の家」シリーズとして今春発売された「縦の家」の模型(参考:「無印良品の家」サイト〜基本構造・設計

上の写真、奥:アドヴァンス建築設計事務所が設立した、規格化に基づくコンセプト住宅[HACOLABO]から、「module 4.5」の提案模型。

会場の一角には、原田祐馬氏による似顔絵イラスト他がハンコ化され、黒/赤のスタンプ台も置かれ、無地のトートバッグに押して持ち帰れるとあって大人気(上の画は初日夕方の時点のもの)
MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展」は入場無料。オープンは連日11-21時。会期は10月26日までと「DESIGN TOUCH 2014」の本会期よりも短いので注意。


「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展」公式サイト
www.ncn-se.co.jp/makehouse/

公式Facebook
www.facebook.com/se.makehouse